Archive for 7 月, 2009

リサーチャーの裏話(8) - 最近のリサーチトレンド④

DIY(Do-It-Yourself)で経費削減?!

費用をかけずに自分たちでリサーチをする(DIY: do-it-yourself) - 最近、欧米で増えている傾向です。日本では、調査会社に依頼せずにすべて社内で調査を行う企業も少なくないので、珍しいことでもないでしょう。ところが、業務をアウトソースすることが進んでいる欧米では、経費削減のために、リサーチ業務の委託をやめてすべて社内でリサーチをする企業も増えているようなのです。

その一つの大きなトレンドが、費用を抑えてアンケートを簡単に作成できるツールの人気。たとえば、米国にMonkey Survey.comというアンケートASPのサービスがあり、100名以内で10問以内であれば無料でアンケート作成・データ収集できるということで、サーベイモンキーを使う企業が増えてきていると聞きます。

安かろう、悪かろうの懸念

ただ、プロのリサーチャーからは、「リサーチの知識がない場合、ちゃんと調査設計できるのだろうか。」「逆に、リサーチの結果で変な意思決定をしてしまわないか。」といった、DIYのリサーチの質に懸念する声も挙がっています。

余計に費用がかかる場合も…

そして、意外にもDIYの方が費用がかかるケースがあります。よく見過ごしなのが、人件費や雑費。アンケート作成や集計分析に要領を得ていないと時間がかかったりします。アンケート調査に加えてインタビュー調査をする場合は、リクルートやインタビュー会場の確保やスケジュール確認など、色々細かな作業が発生します。

DIYの一番のメリット - 肌で顧客の声を感じ取れる

でも、委託をせずに、社内でリサーチをする場合のメリットもあります。DIYリサーチの一番のメリットは、なんといっても直に顧客の声を感じ取れること。生のマーケットの情報を直接拾って、顧客ニーズを感じ取り、製品の改良点、新製品の開発などに活かす - うまく活用すれば、今の時勢にはとても有用なアプローチです。

DIYリサーチは、今は費用面のメリットがおもに押し出されていますが、今後が気になるリサーチのアプローチです。

7 月 31 2009 | 週刊コラム | No Comments »

リサーチャーの裏話(7) - 最近のリサーチトレンド③

やっぱり今でも草の根アプローチ

連日、ニュースでは総選挙の話題ばかりです。その中でちらほら目にするのが「どぶ板」選挙。候補者がどぶ板をわたって一軒一軒訪問して回るということで、「どぶ板」とつけらているようですが、営業でも同じ意味合いで「どぶ板営業」という言葉が使われます。

実は、リサーチでもどぶ板アプローチは使われます。最近は、個人情報の観点から消費者調査では、モニター調査が主流となりましたが、以前は一軒一軒を回って調査の協力をお願いすることがありました。産業調査では、まだまだ一社一社に取材をお願いするアプローチがとられています。

どぶ板アプローチでわかること

どぶ板は効率が悪いのは確かですが、リサーチャーの五感(プラス第六感?)で情報の奥を読み取ることができるので、なかなかリサーチアプローチとしては捨てがたいものです。センサーのように見たり、聞いたり、感じ取ったことをすべて分析に回すことができるのですから。

データも眼で調べる

最近は、統計ソフトも非常に良いものが出てきて、ぱぱっと主成分分析や回帰分析などができるようになりました。でも、ここでも人海戦術で生のデータをチェックすることがあります。

ソフトで困りものなのが、異常値や無効回答が混じっていても素直に計算して統計値を出してくれること。気がつかないでいると、変なデータでも集計表やきれいなマッピングまで出してくれたりしますから。確かにウェブアンケートでは、プログラミングによって異常値や無効回答を外すようにはしているのですが、少しでも「?」と思うと、生のデータを確認します。そして、アンケートに答えた人に生の声を聞いてみると、勘違いをして回答していた - ということもあります。

確かに、リサーチを効率的にできるようにさまざまなツールが出てきましたが、最後はやっぱりリサーチャーの目。目を肥やさないといけない、といつも感じます。

7 月 24 2009 | 週刊コラム | No Comments »

リサーチャーの裏話(6) - 最近のリサーチトレンド②

前回のブログで、リサーチに消費者の行動を理解しようとする動きがあると書きましたが、そのほかの大きな流れがマクロマーケティングリサーチです。

マーケット全体を理解しようとする動き

市場規模や市場構造、そして消費者を理解しようという動きがあります。市場がこの先拡大するのか、あるいは縮小するのか、そして市場の競合状態などの情報を集めてターゲット市場を選んだり、中長期的なビジネス戦略に活かされるケースなどです。

そのための調査は非常に複雑で、まずデスクリサーチから始まり、ヒアリングやアンケート調査なども行います。特に、「このような切り口で市場を見ることができないだろうか?」といった場合は、まず市場データがありません。いくつかの既存のデータを組み合わせて、その後にヒアリングやアンケートなどで検証していきます。

グローバルのトレンドを理解しようとする動き

今に始まったことではないのですが、多国籍調査がよく実施されています。つまり、多国籍に同時に調査を行うことによって、どの国のマーケットに魅力があるのかを見るという動きです。もちろん、最近注目を浴びているのが、新興国。

世界のリサーチのトレンドを見ていると、企業の興味がどこに向いているのかを感じ取ることができます。マーケットの理解から具体的なアクションへ - その時期はそう遠くないかもしれません。

7 月 20 2009 | 週刊コラム | No Comments »

リサーチャーの裏話(5) - 最近のリサーチトレンド①

日本でも同じ傾向があるのですが、海外でも広告関係のマーケティングリサーチが減ってきているようです。Research Managineなどのリサーチ専門誌では、広告のコンセプト調査などに活用されるフォーカスグループインタビューの受注が減っていると伝えています。

その一方で、最近増えてきているのが、消費者の行動を理解しようとする動きです。つまり、新製品を告知するとしても、今の消費者はどこを見て新製品情報を知ろうとするのか、どのような内容であれば買いたいと思うのか等を調べて製品の販売活動に活かすというものです。

複雑になってきたリサーチ設計

最近、特に多くなったと感じられるのが専門家を対象としたインタビュー調査です。将来予測をするときに用いられる方法ですが、デルファイ法と言って、多くの専門家の意見を集めてその内容を収束していく方法です。専門家といっても、広い意味で解釈すれば「その分野に詳しい」顧客も入りますので、オピニオンリーダーと言った方がよいでしょうね。

また、アンケート調査からの結果分析だけではなく、行動観察を組み合わせた分析も行われます。人の行動などを観察・分析するエスノグラフィーや、心理学でよく用いられる写真などのイメージから顧客の心理を理解する方法も使われるようになってきました。

分析も複雑だけれど…

ただし、調査設計が複雑になるにつれて、分析も一筋縄ではいかなくなります。ひとつひとつの情報を、仮説と照らし合わせながら検証する - その繰り返しです。かなり泥臭い内容なのですが、コツコツと分析をしていると何らかのパターンや全体的な傾向が見えてきます。そして、新しい発見があると一筋の光がさしてきたような(おおげさ?)気持ちになります。でも、私たちにとって一番わくわくするときは、その発見が次のビジネスへの一手へ活かせると見えたときです。

7 月 10 2009 | 週刊コラム | No Comments »